相続登記の義務化について①

相続登記の義務化について①

相続登記未了による所有者不明土地の増加

土地や建物の所有者は、登記簿に記録されています。
相続によって所有者が変わった際には、法務局へ登記簿に記録されている所有者を変更する登記申請を行い、名義の変更をします。
この名義変更の登記をすることは、新所有者(相続人)の「権利」とされていて、もし登記をしていなくても特に罰則はありませんでした。
ですから、名義変更に手間や費用がかかることなどを理由として名義変更を行わない、先延ばしにするケースが多くありました。
その結果、何代にもわたって名義変更がされず、現在の所有者が誰かわからない、または所有者に連絡のつかない「所有者不明土地」が近年増加し、その面積は2016年において約410万ヘクタールとされています。
これは、九州本島の土地面積約367万ヘクタールを超えています。
衝撃的な数字です。
所有者不明土地においては、管理不全、獣害、荒廃、取引の停滞など多数の問題が発生し、国家レベルでの懸案事項・社会問題となりました。

民法・不動産登記法の改正

前述の社会的な背景を受けて、令和3年4月28日に、民法と不動産登記法を改正する法律が公布されました。
その法律の中で、これまで任意であった相続登記が義務化されることになりました。
(法律第二十四号(令三・四・二八)民法等の一部を改正する法律)

(改正後不動産登記法)

第七十六の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

平たく言うと、相続人が、①被相続人が死亡し、自分が相続人になること②被相続人が不動産を所有していたことを知ったことの2点を知った日から3年以内に相続登記を申請しないといけないということです。

もし期限内に相続登記を行わなかったら?

期限内に手続きを行わなかった場合、罰則として10万円の過料が課されることが予定されています。
(改正不動産登記法第164条)

では、具体的にいつから義務化が開始されるのか、また、義務を免れるためにはどのような方法があるのか、より詳しい内容は、次回まとめてみたいと思います。

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