成年後見人は誰がなる?
後見人となるための特別な資格は必要なく、民法に定められた欠格事由(下記参照)に該当しなければ基本的に誰でも後見人となることができ、後見申立を行う際に、後見人候補者を立てることもできます。
今まで本人の世話をしてきた配偶者や子どもが後見人候補者となることももちろん可能です。
ただし、最終的に成年後見人を選任するのは、家庭裁判所です。
本人の利益保護の視点から、誰が後見人としてふさわしいのかを、申立書類や調査官面談の内容を踏まえて決定します。
本人の財産状況や周辺事情によっては、後見人として弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門職が選任されることもありますし、親族が後見人となった場合でも、後見人の後見事務をチェックする後見監督人がつくこともあります。
民法第847条(後見人の欠格事由)
次に掲げる者は、後見人となることができない。
- 未成年者
- 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
- 破産者
- 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
- 行方の知れない者
後見申立にかかる費用は?
①裁判所に提出する収入印紙、切手 (後見、保佐、補助の類型と管轄裁判所によって若干の変動あり) | 1万円程度 |
②申立書の添付書面(診断書、戸籍等)の実費 | 1万円程度 |
③鑑定費用 | 5万円~10万円程度 |
以上が後見申立手続きにかかる実費です。ただし、③の鑑定費用はかからないことも多いです。
申立書類の作成を弁護士や司法書士に依頼した場合には、別途手数料がかかってきます。
申立にかかる費用は、申立人が負担することになります。
ただし、申立書に記載をしておけば、手続きにかかった収入印紙や切手、鑑定費用については審判後本人財産からの支出をすることが出来ます。
その場合でも、弁護士や司法書士の手数料は申立人が負担しなければならないことに注意が必要です。
後見人が就任した後かかる費用は?
弁護士や司法書士が後見人に就任した場合、その報酬が発生します。
(親族後見人でも報酬を受領することは可能です。)
報酬金額がいくらになるのかは、本人の財産がどれくらいあるのか、後見人が本人のためにどんな仕事をしたのかを見て、家庭裁判所が決定します。
(参考 東京家庭裁判所立川支部 平成25年1月1日)
https://www.courts.go.jp/tokyo-f/vc-files/tokyo-f/file/130131seinenkoukennintounohoshugakunomeyasu.pdf
成年後見制度を利用するにあたっての注意点
- 後見人等候補者を立てて申立を行っても、必ず候補者が選任されるとは限りません。
専門職後見人が選任された場合、その報酬がかかってくることになります。 - 成年後見制度を利用すると、本人の財産や収支につき毎年家庭裁判所に報告を行わなければなりません。
- 本人の財産は本人のためにしか使えません。
例えば、本人財産から親族へ贈与をしたり、後見人自身の生活費を支出したり、本人名義の不動産に親族の借り入れのための担保を設定したりすることは原則として認められません。 - 本人の居住用の不動産を売却したり賃貸借契約を解除したりする場合には、家庭裁判所の許可が必要になります。
- 成年後見制度を一度利用すると、本人の判断能力が回復するか、本人が亡くなるまで制度の利用を続けなければなりません。
- 後見人等に選任されると、病気や転居など裁判所が認める正当な理由がない限り後見人等を辞めることはできません。
- 本人の財産が高額である場合、日常生活に必要な一定の金額以上は信託銀行に信託しなければならなくなることがあります。
成年後見制度を利用をされる際は、事前に十分に検討をすることが必要です。
丸目司法書士事務所では、成年後見に関するご相談も承っております。
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